夫との関係やセックスレス、義父母との距離。
いろいろなことが重なって、気持ちが落ち込む時間が増えていった。
朝、夫が仕事へ出かけてひとりになると、感情の歯止めが効かなくなって不安定になった。涙が止まらない。仕事へ行かなきゃいけないのに立ち上がれない。
だけど、仕事を休んで家にいると、車の所在を確認した義母が心配して声をかけてくる。わたしは、ひっそりと休むことすら許されないのか。
辛い、苦しい。息がつまる。こんなところ逃げ出したい。
この家も、窓から見える景色もすべてがわたしを苦しめていた。
抱きしめてほしい。でも言えない
セックスというのは、ただ性欲を満たすためだけのものではない。
抱きしめられて、安心すること。触れ合うことで、心がほどけて安らげること。
求められることで、自分は大切な存在だと自分自身が認められること。
わたしは寂しかった。
寂しくて虚しくて、でもどうしてもセックスレスのことは切り出せない。いつどんなタイミングで、どう伝えればいいのか分からなかった。
言わなきゃ始まらない、そう思ってはいるのにどうしても勇気がでなかった。
夫の優しさに、張りつめていたものが切れた
いつもなら「今から帰るね」と仕事場からしていた連絡をその日はしなかった。
夫から携帯に連絡がきていたけど返信もしなかった。
適当にあちこちさまよって帰宅したのは、22時を過ぎた頃だった。
玄関を開けると、慌てて夫が出てきた。
「仕事、遅かったね」と、わたしの無事を確認して、ホッとしたような顔をしていた。
そんなに心配してたのか。そう思うと、夫から向けられた優しさに、喜びよりも苛立ちがあった。
「うん」と、それだけ答えて、無表情のままリビングへ向かう。
「どうした?大丈夫?」優しさを向けられるたびにイライラとした感情が込み上げてくる。
なんの優しさだよ。
感情が溢れる。
「……なんでしないの!? なんなの? ずっとしてない、もう辛い…」
言葉と一緒に、涙があふれた。
ずっと言えなかったセックスレスのことを、わたしは初めて夫にぶつけた。
”セックス” という言葉を口にはしなかったけれど、夫はわたしがなにを訴えているのか理解したようだった。

