新婚旅行から帰ってきても、わたしたちの間にセックスが戻ることはなかった。
新婚旅行ですら一度もなかったのだから、日常に戻ったからといって突然何かが変わるはずもなく、相変わらずの日々が続いていた。
わたしはその状況に慣れることも諦めることもできず、ただ辛い気持ちを積み重ねていった。
そして結婚式から2か月ほど経った頃、わたしたちは新居へ引っ越した。
新居といっても、新しく家を建てたりアパートを借りたりしたわけではない。義父が所有していた空き家があり、結婚前からそこをリフォームして住むことが決まっていた。
夫はずっと実家暮らしで、結婚後はわたしのひとり暮らしのアパートで一緒に生活していたけれど、リフォームが終わり、ようやく本格的な新婚生活が始まることになった。
けれど、この新居で、わたしにはセックスレスとは別の大きな悩みができることになる。
新居に引っ越してからの夫の変化
一緒に暮らし始めてわかったのは、夫が家のことをほとんど何もしない人だったということ。
料理、洗濯、掃除。食事の後片付けもしなければ、ご飯すら炊いたことがなかった。
当時のわたしは残業も多く、家に着くのが22時頃になることもあった。
先に仕事を終えて帰宅していた夫は夕飯を作るわけでも、ご飯を炊いておくわけでもなかった。
リビングのソファに座ってテレビをみていて、わたしが夕飯を作るのを待っていた。食べ終わったあとの片付けも、もちろんわたし。
夫にとっては、それが当たり前のことだった。
突然の亭主関白?モラハラ?
義父はいわゆる亭主関白な人で、義母は従順な妻だった。
そんな両親をみて育った夫は「夫とはかくあるべき」と思ったのだろうか。
夫のホームグラウンドにうつった途端に豹変した。
元々短気なところはあったし、自分の思い通りにならないと怒ることもあった。
でも以前の「怒り」とは違う、押さえつけるような物言いをわたしに向けてくることが増えていった。
家事のことで不満を伝えると、すぐさま頭に血がのぼり大きな声で怒鳴った。「出ていけ!!」と言われることもあった。
激昂する夫をみると、急速に冷えていく自分がいて、わたしは同じように感情を荒らげることはなく、ただ冷静に話し合いをしようとしていた。
泣いて許しをこうなんてこともしない。それもまた夫の感情を逆なですることになっていたのだと思う。
セックスレスも解消しない。
新しい家での生活が始まれば、何か変わるのかもしれないと、まだ小さな希望の糸をたぐっていたけれど、何も変わらなかった。
変わらないどころか、わたしが思い描いていたものとはずいぶん違う「新婚生活」が、こうして始まった。

