交際中、セックスレスに気づくまでの私は、本当になにも引っかかりを感じていなかった。
もちろん、ケンカをする日もあったし、小さな不満を覚えることもあった。
けれどそれは、恋人同士なら当たり前にある程度のものだったと思う。
彼には長いあいだ、いわゆる「彼女」という存在がいなかったようだった。
だから彼の両親は、初めて私に会ったとき、少し驚くほど舞い上がっていた。
そしてその熱量に押されるようにして、私たちはいつの間にか「結婚」という方向へ背中を押されていくことになった。
最近、セックスをしていない
とはいえ、いわゆる適齢期を迎えていた私も、結婚が決まったことは素直にうれしかった。
週末になると、あちらこちらの結婚式場を見て回り、新居はどうしようか、新婚旅行はどこへ行こうかと、幸せな未来の計画に胸を躍らせる日々だった。
そんな時間の中で私はある日、唐突に気づいてしまう。
最近、まったくセックスをしていない。
週末は、ひとり暮らしの私のアパートで一緒に過ごしていた。
一緒に食事をして、一緒にお風呂に入り、そして一緒に眠っていた。
だけど、セックスはなかった。
なんでしないの?心がざわざわとする。
でも、結婚が決まり次々と決めなければならないことが増え、お互い仕事も忙しかった。
きっとそのせいだ。そうやって私は小さな違和感を振り払った。
芽生えていた寂しさと、疑わなかった未来
気づいてしまったその日から、私の違和感は日に日に大きくなり、そして確実に寂しさに追いつかれてしまった。
一緒にベッドに入ると、彼はパジャマの上から私の胸を触り、それだけで満足して眠る。
隣で寝息を立てている横顔を見て、今日もしないんだと悲しくなる。
なんでしないの?したい。求められたい。
だけど「したい」なんて恥ずかしくて自分から言うことはできなかった。
それまで付き合ってきた彼氏とは当たり前のようにあって、そのきっかけはいつも男性がつくってくれていた。
私を求めてこない彼に対して、自分からセックスを誘うこともできず、ただ彼の体温を感じながら隣で眠るだけだった。
今思えば、このときもっと深刻に考えるべきだったのだ。
セックスをしたくない男
今は忙しいから、結婚式が終わればまた自然に戻る。これは一時的なことだ、とそう繰り返し思っていた。
膨らむ寂しさや不安に心がいっぱいになっても、「セックスをしたくない男の人がいる」という現実を知らない私には、これが永遠に続くものではないと疑わなかった。
結婚すれば、一緒に暮らし始めれば、夫婦になれば。そうしたら、セックスはちゃんとそこに戻ってくる。
私はその未来を疑わなかった。

