新婚でセックスレス。夫に切り出したけれど話し合いはできなかった

話し合おうとは思うけれど、どうしても踏み出すことはできなかった。

セックスのことを、女の私のほうから口に出すのはとても恥ずかしかったし、夫とはそういった性の話題を話し合う関係ではなかったから。

セックスをしたくない夫に、「抱いてほしい」と訴えること――
それは私には、どうしてもできなかった

目次

誘えない、誘われない日々

過去の恋愛では当たり前にあったものが、夫との間にはなかった。

求めるたり求められたりすることが、こんなにも苦しくて悲しいものになってしまうなんて思わなかった

そんな気持ちを飲み込みながら、それでも夫の隣でなにごともないように過ごしている私の苦しみに、夫がまったく気づいていないことが辛かった。

私の新婚生活は、まるで暗闇だった。

本来なら、夫婦として最も幸せで、愛されていると感じられるはずの時期。
それなのに私はただ「抱かれたい」と願い、叶わない現実に涙する日々を送っていた。


夫と離れたい、帰りたくない

夫のいる家に、帰りたくなくなっていた。

「残業だから」と言い訳して、私はどんどん帰宅時間を遅らせるようになっていった。
いつもなら「今から帰るね」と連絡していたのに、その日はそれすらもしなかった。

夫からのメールも無視して、私が帰宅したのは夜の10時を少し過ぎた頃

玄関のドアを開けると、夫が玄関まで出てきた。
私の無事を確認して、ホッとしたような顔で「仕事、遅かったね」と言った。

その口調は労うような優しい響きがあったけれど、私はもう夫に優しさを向ける余裕などなかった。

「うん」と小さく返して、無表情のままリビングへと入る。

ついにセックスレスの辛さを切り出した

そんな私の態度にさすがの夫の言葉にもけんが滲む。

「なに?なんか怒ってるの? こっちは心配してたんだけど」

夫の怒りは当然なのだけれど、その怒りの声が私の中でずっとくすぶっている怒りの炎を大きくした。

「こんな家……こんな家、帰りたくない!」

私の思いがけない言葉に、夫は戸惑いながらも「どうした?」と聞いてくる。

言葉が詰まる。言えない、でも…もう…

ーーーなんでしないの?おかしいよ!

私はついに吐き出した。言葉と同時に涙があふれた。

正当な理由のつもり?突然の「トラウマ」発言

夫は一瞬、言葉を失って黙り込み、そしてそれが何のことかを理解して、「……ごめん」と口にした。

「ごめんって、なにが?」と私が聞き返すと、「え、だから……」と夫は言葉を詰まらせる

「もういい… ちょっともう無理かも…」私がその場を見限った態度を示すと、夫は唐突に言った。

「……ちょっと、トラウマがあって」

――は?トラウマ?

私はその瞬間に、それが今思いついた嘘だと、察してしまった。

それまで曖昧な態度を取っていたのに、急に“重たい言葉”を持ち出してきた。
それは、これ以上深く追及されたくないがための防御だった。

夫はいつもそうだ。

言葉では説明できないけど、分かる。
これは作られた「トラウマ」だということが。

「 トラウマって何のこと?」と聞くと、夫はしどろもどろになりながら答えた。

「えっと……明日香には関係ないから」

またひとつ、心の奥がすっと冷えていくのを感じていた。

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