夫が拒否のセックスレス。触れてくるくせに誘わない理由ってなんなの

夫はよく、私の胸に触れてきた。

テレビを見ているとき、キッチンですれ違うとき、私が料理をしていると、後ろから抱きしめて──その手は自然に胸へと伸びてきた

それは愛撫のようなものではなく、ただ、その柔らかさに触れたいから触れているような、単純で無邪気な欲のようだった。

キスもなければ、服を脱がせる気配もない。
服の上から胸をもてあそび、やがて満足したような顔で私の体から手を離す。

その行為の先に、セックスは存在しなかった。

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セックスレスなのに胸を触る夫

夫にとっては何気ないスキンシップなのかもしれない。
でも、ルーティンのように繰り返されるたびに、

「この人は、私を抱く気はないんだ」

という事実だけが、私の中に静かに積もっていった。

私の中に入りたいとも、近づきたいとも思っていない。
だったら、どうして触れるの。

愛されていないわけじゃない。けれど、女としては求められていない
その矛盾が、触れられるたびに胸の中で膨らんで、私をじわじわと追い詰めていった。

はじめて「やめて」と言葉にした

ある夜、またいつものように、夫が何気ない様子で私の胸に手を伸ばしてきた。
何も考えず、いつも通りの動作として、ごく自然に私の体に触れた。

もう嫌だった

もう限界だった

拒絶の言葉を吐き出したいのに、喉の奥が詰まる。
「もう嫌だ。嫌だ。」心の中で何度も繰り返しながら、私は夫の方を見ずに、どうにか声を絞り出した。

「……やめて」
「セックスしないのに、触らないで」

感情を抑えようとしていたけれど、言葉の端がほんの少し震えていた。
だけど、ここで泣きたくはなかった。

夫は「えっ」と言って、動きを止めた。
そのときの夫の表情がどうだったのか、私にはわからない。

そして、少しの間を置いて、たった一言、「ごめん」と言った

私が長い間、飲み込んできて、ようやく吐き出したその言葉に対して、返ってきたのは「ごめん」だけだった。

私の本心を知った夫の選択

私は、どこかで期待していた。
私の本当の気持ちを知った夫が、変わってくれることを

胸に触れることが夫にとっての日常だったのなら、それを拒まれることの意味を考えてくれるはずだと。
そんなにも苦しめてきたのかと気づいて、私の気持ちを受け止めてくれるはずだと。

抱いてくれることを期待していた

だけど、そんな私の思いに反して、夫はそれから一切、私の胸に、私に触れてこなくなった

胸に触れることが大好きだった夫。
けれど、それを失ってもなお、彼は私を抱こうとは思わないのだと、思い知った

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